「時間がないのに、子どもがのんびり朝ごはんを食べている…」
「テレビに夢中で着替えない！」
朝の忙しい時間帯、こんな「子どもあるある」に頭を抱えている親御さんは少なくありません。
特に仕事や園の送りが控えている平日の朝は、1分1秒が勝負。つい声を荒げてしまい、自己嫌悪に陥る方も多いのではないでしょうか。
しかし、子どもにとって朝の準備は大人の想像以上に難しい作業。だからこそ、工夫と視点の転換で「イライラの朝」が「笑顔の朝」へと変わる可能性があります。
本記事では、「朝の準備が進まない子どもあるある」に悩むママ・パパへ向けて、実際の体験談や専門家のアドバイスをもとに、具体的な対処法や声かけ術を紹介していきます。
「どうせ今日もバタバタでしょ…」とあきらめる前に、ぜひ一度読み進めてみてください。
子どもが朝の準備を嫌がる理由とは？
大人と子どもでは「時間感覚」がまったく違う
大人にとって「朝の30分」は貴重な時間。しかし子どもにとっては、まだ「時計を読む」「時間を守る」という感覚が未熟です。
そのため「あと5分で出かけるよ」と言われても、ピンと来ないのが普通です。特に3歳前後の子どもは、自分の興味や遊びに没頭することが優先されてしまい、親の指示が耳に入りにくくなります。
たとえば「ご飯の前におもちゃを片付けて」と伝えても、子どもにとっては「遊びの途中で止めること」が大きなストレスなのです。
つまり、「時間を守らない」のではなく「時間がまだわからない」と捉えることで、声のかけ方や接し方に余裕が生まれます。
「イヤ！」には理由がある。自己主張の芽生えに注目
2〜4歳ごろになると、「自分の意思」を持ち始める子どもは、親の指示に反発することがあります。
この時期の「イヤイヤ期」は成長の証ですが、朝の準備中にそれが爆発すると大変です。
たとえば、「この服は着たくない」「ご飯はいらない」「自分でやりたい！」など、大人にとっては些細なことでも、子どもにとっては大事な主張。
この自己主張を無理に押さえつけるのではなく、「選択肢を与える」「任せてみる」ことで気持ちよく動いてくれることがあります。
たとえば「赤と青、どっちのシャツがいい？」と聞けば、自分で選んだ満足感から着替えもスムーズに進むことが多いのです。
実は「準備が面倒」より「遊びたい」が勝っている
朝の支度が進まない理由の一つに、「準備がイヤ」というより「他にやりたいことがある」という心理があります。
お気に入りのテレビ番組、読みかけの絵本、お気に入りのおもちゃ…。
子どもは「いま目の前の楽しみ」を優先しがちです。その結果、準備は後回しになります。
しかしこの「遊びたい気持ち」を否定するよりも、「準備が終わったら続きをしようね」とゴールを示すことで、意欲的に動くことがあります。
「あとで続きを一緒に見ようね」と約束することで、安心して支度に移れることもあるのです。
朝の支度が進まない子への具体的アプローチ3選
実況中継＆お店屋さんごっこで楽しく誘導
子どもの行動を実況する「実況中継方式」は、5〜6歳の子に特に効果的です。
たとえば「おっとー！○○選手、いま靴下を探し始めました！」などと実況スタイルで声かけすると、遊び感覚でノッてきてくれることが多いのです。
これは、子どもが自分を主役に感じられ、「注目されている」と感じることで、行動へのモチベーションが高まるためです。
また、1〜3歳くらいの子には、「お店屋さんごっこ」もおすすめ。「今日は何を買いますか？シャツはいかがですか？」と服を商品に見立てるだけで、スムーズに着替えを始める子も多いのです。
このように、遊びの延長線で準備を組み込む工夫が効果的です。
選択肢を与えて「自分で決めた感」を大事にする
「イヤ！」が多い子どもほど、自分で選びたい気持ちが強い傾向があります。
そのため、命令ではなく「選ばせる」ことでスムーズに支度が進むケースが増えます。
たとえば「赤のシャツと青のシャツ、どっちがいい？」「バナナとヨーグルト、どっちにする？」など、あらかじめ用意した中から選ばせるスタイルが効果的です。
大人が主導しつつ、子どもには「自分で選んだ」という実感を与えることがポイントです。
また、「朝ごはん、どうする？」ではなく「ごはん食べるなら、どっちがいい？」と、食べる前提で質問する言い回しも有効です。
親が「焦っていないフリ」をすることで子どもも安定
朝の支度に時間がかかると、つい焦って声が強くなってしまいます。
しかし、子どもは親の感情にとても敏感。怒りや焦りが伝わると、余計に反発したり、緊張して動きが遅くなる場合があります。
そのため、「焦っていない演技」をするだけでも、子どもの行動が落ち着くことがあります。
たとえば「あと5分しかないよ！」ではなく、「あと5分で競争しようか？」と声かけを変えることで、場の空気がぐっと和らぎます。
また、失敗しても責めない姿勢が、子どもにとっては「安心材料」となり、翌朝の準備意欲にもつながります。
ママ・パパのリアルな朝の葛藤と共感エピソード
「早くして！」が口グセに…自己嫌悪のループ
朝の支度でイライラしてしまう親は決して少なくありません。
ある調査では、実に82％以上のママが「朝の準備でイライラすることがある」と回答しています。
理由はさまざまですが、「何度言っても起きない」「ご飯を食べるのが遅い」「着替えに時間がかかる」など、時間との戦いがストレスを引き起こしています。
特に仕事や送迎のある日は、「あと5分…！」という焦りがピークに達し、「早くして！」と声を荒げてしまうことも。
そんな自分に自己嫌悪を感じ、「なんで怒ってばかりなんだろう…」と落ち込む親も多いのが現状です。
着替え・朝ごはん・トイレ…すべてがバトル
「着替えたくない！」と走って逃げる子。
「この服じゃイヤ」「昨日の服がいい」「お気に入りのTシャツじゃなきゃダメ」など、服選びで時間がかかるケースもあります。
朝ごはんに関しては、「食べない」「食べるのが遅い」「口に入れたままぼーっとしている」など、こちらも親の忍耐力が試される時間帯。
トイレも「行きたくない」「行っても遊んでいる」など、準備のすべてが「バトル」に感じられる瞬間が多くあります。
親としては「一つずつやれば10分で終わるのに…」と思ってしまいますが、子どもにとっては「やりたくないことが次々と来る」状態。
そのギャップが、朝のイライラを生む大きな要因なのです。
「もう悟りの境地」と語るママたちの声も
一方で、「イライラするのは当たり前」「もう諦めた」と、ある種の悟りを開いたような声も見られます。
「遅刻しても困るのは子ども、自分で学べばいい」「いずれできるようになると信じて任せている」など、長期的な視点で構える姿勢も。
また「子どもが早起きなのであまり困らない」といううらやましい意見もあり、家庭によって状況はさまざまです。
いずれにしても、「比べない」「完璧を求めない」ことが、心の余裕を生むカギといえるでしょう。
大切なのは、「我が子のペースと個性を受け入れる」こと。朝のバタバタも、成長の一コマだと捉えると、少しラクになれるかもしれません。
朝をスムーズにするアイデア・仕組みづくり
「ルーティン化」で迷いを減らす仕掛けを
子どもは「毎日同じ動き」に慣れると、次第に自分から動けるようになります。
そこで有効なのが「朝のルーティン化」です。
たとえば、「起きる→顔を洗う→トイレ→着替え→ご飯→荷物確認」という流れを毎朝同じ順番で行うようにします。
視覚的なサポートとして「支度チェック表」や「絵カード」を使うのも効果的です。
さらに、「できたらシールを貼る」など、視覚的な達成感を与えることでやる気が継続しやすくなります。
毎日続けることで、「朝はこう動けばいい」という感覚が子どもに自然と身についていきます。
「時間を意識させる」にはタイマーや音楽が効果的
まだ時計が読めない子どもでも、「時間を感じる」工夫をすれば行動がスムーズになります。
その一つが「タイマーの活用」です。「5分で準備しよう！タイマーが鳴ったら出発ね」とゲーム感覚で使うことで、子どもも時間を意識しやすくなります。
また、「音楽を流す」方法も人気です。たとえば運動会の行進曲（天国と地獄など）をかけて、「この曲が終わるまでに準備しよう！」と競争形式にすれば、自然とスピードアップが期待できます。
これらの工夫は、子どもに「準備＝楽しい」と感じさせる助けにもなります。
「準備が楽しくなる環境」をつくる工夫
朝の準備を嫌がる子にとって、「準備そのもの」がイヤなものではなく、「やらされる」感覚がイヤなのです。
そのため、子どもが自分から動きたくなるような環境を整えることが重要です。
たとえば、「着替えコーナー」を用意して、子ども自身がそこに行けば自然と洋服が選べるようにしたり、「準備ボックス」を用意して持ち物を自分でそろえられる仕組みにすると、行動のハードルが下がります。
また、「パパが忘れちゃった！○○ちゃん覚えてる？」と子どもを頼るような声かけも効果的です。
子どもにとっては「自分が役に立っている」と感じられることが大きなモチベーションになります。
朝の余裕は「前夜の仕込み」で決まる
前日のうちに「準備できること」はすべて済ませる
朝のドタバタを減らす最大のポイントは「夜にどれだけ準備しておけるか」です。
服選び、持ち物の用意、朝ごはんの下ごしらえなど、できることはすべて前夜に済ませておくと、朝の時間に余裕が生まれます。
たとえば、「翌日に着る服を子どもと一緒に決めてセットしておく」「朝食の食器を出しておく」「連絡帳やハンカチ、ティッシュをランドセルに入れておく」など。
このように“朝の選択肢”を減らしておくことで、親も子どもも迷わず行動できます。
また、子ども自身に前夜の準備を任せることで、自立心や責任感も育まれていきます。
「先回りしすぎない」ことも朝のスムーズさに直結
親が全部をやってしまうと、子どもは「自分でやる力」が育ちません。
「自分でできることは自分でやる」習慣をつけることで、朝の準備も自然とスムーズになります。
たとえば、「バターをパンに塗る」「おにぎりを自分でにぎる」など、簡単な朝食準備を任せるのも有効です。
もちろん最初は時間がかかることもありますが、少しずつ慣れていけば朝の負担が減っていきます。
親は「教える」「見守る」「信じて任せる」ことを意識することが大切です。
「夜の声かけ」が朝の空気を左右する
寝る前のコミュニケーションも、朝の準備を円滑にするカギになります。
たとえば「明日はどんな服を着たい？」「朝ごはん、パンにする？ご飯にする？」と子どもに質問し、準備の主導権を渡すことで、翌朝の行動が前向きになります。
また、「明日は早く起きられるかな？ママ応援してるね」と、肯定的な言葉で子どもの意欲を高めるのも効果的です。
逆に「明日もグズグズしないでよ！」といった否定的な声かけは、寝る前の安心感を妨げてしまいます。
朝の機嫌をよくするためにも、「夜のうちに心の準備を整えてあげる」ことがとても大切なのです。
まとめ：朝の準備を「親子で笑顔」に変えるために
子どもあるあるの裏には“理由”がある
「時間がないのに…」「なんで動かないの？」とつい思ってしまう朝の子どもたちの行動。
しかしその裏には、時間感覚の未熟さや、自己主張の芽生え、遊びたいという純粋な欲求があります。
親の目線で「やらない子」と捉えるのではなく、「まだ発達途中である子」として見ることで、気持ちに余裕が生まれるはずです。
その上で、「実況中継」「選択肢を与える」「ルーティン化」など、子どもの発達に合わせた工夫を取り入れていくことが大切です。
イライラしない朝は「仕組み」と「準備」でつくれる
朝のストレスを減らすには、仕組みづくりと前夜の仕込みが重要です。
支度表やタイマーで時間感覚を育て、服や荷物の準備は前日のうちに済ませておく。
さらに、「一緒に選ぶ」「任せてみる」「安心の声かけをする」といった、子どもが自分から動きたくなる環境を整えてあげましょう。
それでもうまくいかない日は、「まあ、そんな日もあるさ」と受け流す力も必要です。
親も「自分を責めない」選択を
朝に怒ってしまった日もあるでしょう。
自己嫌悪に陥ることもあるかもしれません。
でも、それはあなただけではありません。多くのママ・パパが同じような悩みを抱えています。
だからこそ完璧を目指さず、「昨日よりほんの少しスムーズだった」「今日は一緒に笑えた」そんな一歩を積み重ねていければ十分です。
今日からぜひ、小さな工夫を一つずつ取り入れて、親子で笑顔になれる朝を目指してみてください。